解説
 
この章では初心者が音楽の拍子をとれない原因と、それを解決するための練習方法について説明しています。
 

出所 

 

8.1 Hearing the Beat
   音楽のビートを聴く

 

Not everyone can hear the beat.
必ずしも誰でもがビートを聞くことが出来ると言うわけではない。
 
The problem is very seldom a rhythmic thing.
ビートを聴くことについて、問題がリズムに起因するということはほとんどない。
 
There is a psychological thing called entrainment that is innate in all normal humans and enables them to naturally fall in sync with repetitive musical patterns.
普通の人間すべてに生得のものであって、かつ音楽において繰り返されるパターンに、自然に同期することを人間に可能にさせるEntrainmentという心理的な現象が存在する。
 
tama注:
Entrainmentとは、生物が、自己の持つ自律的なリズムを他のリズムにひきずられて同調していく現象を言う。以下「同調」と訳す)
 
It doesn’t work well when you don’t listen carefully because you’re focusing on other things like dancing properly.
「同調」は注意深く音楽を聴いていないときにはうまく働かない、なぜなら、たとえば正しく踊るといった別なことに集中しているからである。
 
It also won’t work if you listen to the wrong things, like the cymbal instead of the instruments that are holding the beat your feet are supposed to be moving to.
さらに、誤ったものを聴いている場合もうまく働かない、誤っている場合というのは、ステップを合わせるべきビートを鳴らしている楽器の音でなく、たとえばシンバルの音を聴いている場合である。
 
You don’t have great rhythmic sense in order to dance.
だれもがダンスを踊るのに優れたリズム感覚を持っているというわけではない。
 
All you have to do is learn the leads and footwork well enough so that you can listen to the music while you dance.
しなければいけないことは、踊っている間音楽を聴くことができるように、リードとフットワークを十分に習得することである。
 
Turning up the bass and turning down the treble is a good training tool.
低音の音量を上げて、高音の音量を下げて聴くのは良いトレーニングの道具になる。
 
This helps them to learn just what they should be listening to.
この方法は、(生徒が)何に対してだけ耳を澄ませるべきかということを習得する助けになる。
 
There is so much going on in that set of drums, that some people just aren’t aware of what we are dancing to.
ただ(リズムを刻む)ドラムスは多くの音を出しており、どれに合わせてダンスをするべきかを認識していない人もいる。
 
Try clapping it out along with the student.
生徒たちと一緒に手を叩いてみること。
 
Use straight 4’s first, not quicks and slows.
最初はクイック・クイック・スローでなく、1234を用いること。
 
If he can’t keep the beat, let him practice by himself for a few days until he can.
もし生徒がビートを保てなかったら、出来るようになるまで数日間自分ひとりで練習をさせること。
 
Some people are more tactile than auditory, and for those you may find it helpful to tap their body or shoulder in time to the music, and let them tap feet or clap hands or tap on a table.
聴覚より触覚のほうがわかりやすい生徒もいる。そういう生徒に対しては、彼らの体ないし肩を音楽に合わせて軽く叩くのが役に立つかもしれない。また自分で足をタップさせる、手をたたく、あるいはテーブルをとんとん叩くなどをさせること。
 
This gets them started with an extra physical cue reinforcing the auditory cue.
このやりかたは、耳で聞く合図を補強する追加的な身体的な合図で始めさせるものである。
 
I ask folks to listen to the radio as much as possible, and to routinely tap the beat with their feet, or tap on the steering wheel, or clap the beat, or whatever… to try to practice hearing the beat.
私は皆に、出来るだけラジオを聴き、いつも足でビートをとる、車のハンドルを軽くたたく、あるいは手をたたく、などなんでもいいのだが、ビートを聴く練習をするように言っている。
 
15 minutes alone can often be equivalent to an hour while being watched.
15分間ひとりで練習することは、他から注視されながら1時間練習するのにしばしば匹敵する。
 
When they can hear the beat, then have them tap out the dance rhythm (quick-quick-slow-slow, etc.)
かれらがビートを聞けるようになったら、次はダンスのリズム(QQSSなど)でトントン叩かせること。
 
Once he can clap quicks and slows consistently, let him try walking it.
QやSをきちんと叩けるようになったら、歩くことでビートをとらせること。
 
Walk it continuously, the living room will be too small, have him try it outside on his daily stroll (don’t laugh, this is how I learned three against two, other people might laugh, but if your determined enough…)
きちんとそれができるようになったら、リビングルームは狭すぎるようになると思うので、それを日常外を歩くときにやらせること。
 
tama注:
後半のカッコの中のthree against twoという言葉は複合リズムに関するものですが、この文脈ではなにを言おうとしているのかわかりませんので訳しません。
 
Then you can move to the living room, don’t worry about the space.
それからリビングルームで動けるようになったらスペースについては気にすることはない。
 
Go in circles, back and forth, in place, and combinations of all of them.
サークルを描く、前進、後退、その場で、あるいはそれらの組み合わせで、歩かせること。
 
You might want to replace the words quick-quick-slow-slow with quick-quick-slow-lead occasionally, have him do the arm movements as best as possible at the same time.
時々はQQSSをQQSで置き換えたい場合があるかもしれない。そのときは、同時にアームも動かすようにさせなさい。
 
In class, the best way to get students to dance on time is to count the rhythm properly while the music is playing.
団体レッスンでは、音楽に合わせて生徒を踊らせる最善の方法は、音楽が演奏されているあいだ(生徒自身で)正しくリズムをカウントさせることである。
 
The overwhelming majority of beginners, in my experience, want desperately to dance on the instructor’s count.
私の経験では、初心者の圧倒的多数は指導者のカウントに合わせて踊ろうと必死になる。
 
When practicing,
練習させるときは
 
1) KISS! If the newbie is a follower, be restrained in what you lead. And if the newbie is a leader, accept that you will be following a very simple dance.
1)新人がフォロアー(女性)ならば、リーダーのリードだけに任せるように指導すること。
もし新人がリーダー(男性)ならば、ごく単純なステップだけをやらせること。
 
Dancing very simple basic patterns is much more enjoyable than struggling with complicated wraps, ducks, and whips when one partner can hardly hear the beat.
もし自分のパートナー(注:男性または女性)がまたビートをほとんど聴くことが出来ない段階では、複雑なラップ、ダック、ウィップを踊るのに四苦八苦しているよりは、ごく単純なベーシックステップを踊るほうが、ずっと楽しむことができるものである。
 
tama注:
日本のダンスシーンではパートナーと言う言葉を女性だけに限定して使用しているが、欧米では、女性に対する男性もパートナーと呼ばれている。ここでもその意味であることに注意すること。
 
2) Select slower music to dance to.
2)ダンス音楽はゆっくりしたものを選ぶこと
 
It may not be as exciting, but it will be far more comfortable for your newbie partner, and they will be far more likely to develop good dancing habits.
そういう音楽は、エキサイティングと言うわけではないかもしれないが、新人のパートナーにとってはずっと楽で無理がなく、かつ、正しい踊りの習慣を身につけることができやすい。