解説

ボルテクでは「フットワーク」は以下のように説明されています。

フットワーク

フットワークとはフロアーにコンタクトする足の部分を意味するが、、及びクイックステップでは「トー」および「ヒール」の用語が使用されることに注目すること。「トー」という用語には足の「ボール」を含む意味がある。前進の場合、足全体を使うことは言うまでもないが「ヒール」と定められている。「ヒール」そして「フラット」という必要はない。覚えるべき必要なルールは片方の足が横からもう一方にクローズする時、トーがフロアーにコンタクトしてクローズする事である。

 

出所:ボールルームダンス・テクニック(通称ボルテク
しかしこれは現代のボールルームダンスで使われているフット・ロール技術というテクニックが書かれていません。
 
WDSFのテクニックブックでは、この技術をこの章の、Foot-Roll Principlesという個所で説明していますが、重要なのでじっくりと読むべきだと思います。
 
特に重要なのは、最後の「Start to Rise e/o 1 (Leg-Foot)」の「To be precise(正確に言うと)」以下の説明個所です。
 
Start to Rise e/o 1 (Leg-Foot)という文章は、英語としては、ステップ1が完了してからレッグ・ライズおよびフット・ライズをスタートせよ」というのが正しい意味になります。しかし、その説明個所で説明しているように、この意味で行うよう説明しているのはフット・ライズだけです。つまりフット・ライズについてはボルテクと同様です。
 
一方、ボルテクおよびその原書のISTDThe Ballroom Technique(1982年に最後の第10版が出版された)に存在せず、WDSFの教本で追加されたレッグ・ライズは、ステップ1の完了前に行うという意味となっています。確かに、トッププロの踊り方を動画で見てみると、カップルにより異なりますが、わずかにフット・ライズより、レッグ・ライズが先行して行われているように見えます。この (Leg-Foot)のように2種類のライズが記載されているところは、最初のライズをそのステップの終わりで実行せよと指示しているのか、あるいは次のステップの初めで実行せよと指示しているのかについては、さらに分析したいと思います。
 
このように複数種類のライズが記載されている理由については、定かではありませんが、おそらく近年ダイナミックな高低差のあるライズ&ロアーレッグ・ライズおよびレッグ・ロアーを多用することになり、Rise e/o 1 のような単純な表現では説明しきれなくなったのではないかというのが私の推測です
 
なお、本文中の、Whole Foot(ホール・フット)とFlat Foot(フラット・フット) の使われ方について補足しておきます。
    • Whole Foot
      タンゴのリカバリー・フェーズでしばしば使われているが、フォックストロットでは使われていない。
      また、ワルツでも、ヘジテーション・チェンジのステップ2のフット・アクション(H then I/E of F and Whole F)およびウィングのステップ2-3にかけてのフット・アクション(Whole F (RF) and pressure on I/E of T (LF) )を除き使われていない。
    • Flat Foot
      ワルツやフォックストロットなどでは多用されているが、フット・ロール技術を用いないタンゴでは使われていない。

 

本文対訳

5) Foot Action
 
The Foot Action describes which part of the foot is in contact with the floor (with or without weight) during the execution of the step and how it is placed.
Foot Actionとは、ステップの実行中に足のどの部分がフロアに接触しているか(体重を掛けているかどうかにかかわらず)、およびフロアへの足の置き方について説明している。

In the chart only the starting contact and the ending contact points of the foot are indicated.
チャートには、フロアへの足の最初の接触点と最後の接触点だけが示されている。

The intermediate points of contact are implicit.
フロアへの接触中の途中は明示されていない。
 
There are nine codified foot contact points.
体系化された足の接触点は9つある。
 
The figures below indicate these positions together with the most common examples of where these are used.
以下の図は、これらの位置を、これらが使用される場所の最も一般的な例と共に示している。
 
 
There are nine codified foot contact points, The figures below indicate these positions together with the most common examples of where these are used.
体系化された9つの足の接触点がある。以下の図は、これらの位置と、それらが使用される最も一般的な例を示す。

 
Heel ヒール
(e.g. The beginning or the end of a normal Rolling action of the Foot)
(例 通常の足のローリング・アクションの最初または最後でのフット・アクション)
 tama注: 前進のときはローリング・アクションの最初、後退のときはローリング・アクションの最後。
 
Toe トー
(e.g. Used at the highest point of rise)
(例:ライズの最高点で使用される)
 
Extreme Toe エクストリーム・トー
(e.g. The highest contact without weight mainly used for aesthetic lines)
(例:主に美しいライン・フィガーを作り出すために使用される、荷重を掛けずに行う最も高いフット・コンタクト

tama注:
文中の aesthetic lines とはいわゆるライン・フィガー(日本ではしばしばピクチャー・ポーズと呼ばれる)のことと思われる。たとえば、クイックステップのウッドペッカー・タップスである。(https://www.youtube.com/watch?v=QvMZoTlSAKs
 
なおJDSFの公認指導員教育テキストには以下のような記述があるが、この場合フロアに荷重をかけているので、Extreme Toeとは異なると思われる。
● ハイ・フット・プレッシャー・ポジション(Hight Foot Pressure Position)
ラテンにおいて、ヒールと足首を高く上げて床を押した状態
 
 
Whole Foot ホール・フット
(e.g. When the entire foot is placed directly onto the floor)
(例:足全体がフロアに直接置かれる場合)
 
Flat Foot フラット・フット
(e.g. When the entire foot is placed on the floor during a Rolling action)
(例:ローリング・アクション中に足全体がフロアに置かれる場合)

Ball ボール
(e.g. Any stage of a Rolling action between Flat and Toe).
Note: The Foot Action Ball covers all degrees of flexion of the foot from when the Heel is just off the floor until one degree less than “Toe”.
(例:フラット・フットとトーの間のローリング・アクションの任意の段階)。
注意:フット・アクションのボールというのは、ヒールがフロアから離れたときから「トー」よりも度合いがわずかに小さいところまでの、足のあらゆる屈曲度をカバーする。
 
Inside Edge of Toe トーのインサイド・エッジ
(e.g. When the Toe is placed on the floor with an internal lateral flexion of the ankle)
(例えば、足首の内側の横方向の屈曲を伴ってつま先が床の上に置かれるとき)
 
Inside Edge of Foot フットのインサイド・エッジ
(e.g. When the Foot is placed on the floor with an internal lateral flexion of the ankle)

(例えば足が足首の内側の横方向の屈曲でフロアに置かれるとき)

Outside Edge of Toe
(e.g. When the Toe is placed on the floor with an external lateral flexion of the ankle)
(例えば、足首の外側の横方向の屈曲を伴ってトーがフロアに置かれるとき)

 
The Foot-Roll principles
フット・ロールの原則

All steps in swing dances (Waltz, Viennese Waltz, Slow Fox and Quickstep) danced with a Drive Action, are normally described as having a H Flat Foot Action.
・ダンス(ワルツ、ヴィーニーズ・ワルツ、スロー・フォックストロット、およびクイックステップ)でドライブ・アクションを伴って踊られる全てのステップは、通常、ヒール・フラットというフット・アクションを持っていることを前提として説明される。

This description derives from the technical adaptations required to respond to the need for elevated dynamics, typical of DanceSport.
この説明は、ダンススポーツにおいて典型的な、より高いダイナミックさの必要性に応えるために求められた技術的適応に由来している。

In practical terms the forward-moving partner, in order to maintain an intense shifting of body weight while still adhering to the aesthetic conventions and maintaining balance, must, in the Recovery phase of the step, maintain the whole foot in contact with the floor.
実際的な条件としては、前進する側は、美的な伝統を順守しつつバランスを保つ一方で、体重の強い移動を維持するために、各ステップのリカバリー・フェーズでは、フロアに対してホール・フットを維持しなければならない。
tama注:
WDSFでは、このページの最初の方に記載されているように、フラット・フットとホール・フットとは区別して使っていることに注意。
また the aesthetic conventions (美的な伝統)というのはおそらく PART 2 SLOW FOX SPECIFIC PRINCIPLESRise and Fall and Foot Action の項で説明されているように、スイング運動の軌跡をより “rounded curve” (丸みを帯びたカーブ)にすることを指していると思われる。

In the following phase (the beginning of the next step), the Heel may leave the floor and the contact best suited to the figure may be used (Toe, Ball or Flat).
その次のフェーズ(すなわち次のステップのはじめ)では、ヒールをフロアから離してもよく、そのフィガーに最もふさわしいコンタクト(トー、ボール、ないしフラット)を用いることができる。

It is important to emphasize that the Rise and Fall indicated at the end of the step will contemplate the use of foot rise, even though the Foot Action will be H Flat.
そのステップに (at the end of ) として示されているライズ・アンド・フォールは、たとえフット・アクションがヒール-フラットとなっていたとしても、その後にフット・ライズを行うことが予定されていることを強調することは重要である。
tama注:
H Flatというのは、「Heel つぎに Flat Foot」というフット・アクションを簡略化して表現したものである。

For example, the first step of a Closed Change will be indicated as Start to Rise e/o 1 (Leg-Foot).
たとえば、クローズド・チェンジの最初のステップは、「Start to Rise e/o 1 (Leg-Foot」と示されている。

This indicates that the rise will start over the foot, as opposed to after the Recovery phase, as would be used in a step without Drive Action.
これは、リカバリー・フェーズの後にライズが始まるのではなく、ドライブ・アクションのないステップで用いられているように、その足の上でライズが始まるということを示している。

To be precise, a rise due to the extension of the standing leg will be used, and the foot rise will occur almost at the beginning of the following step.
正確に言うと、スタンディング・レッグを伸ばすことによるライズが用いられ、それから、おおよそその次のステップのはじめでフット・ライズが起こるのである。