■ 通常の日本語の歩ないしStepの意味

日本語では、通常、「片方の足を床から離してその足を次に床に着地するまで」を1歩と呼びます。これは英語でも同じで「片方の足を床から離してその足を次に床に着地するまで」を1Stepと呼びます。

■ ダンス教本のチャートの左端の「ステップ」ないし「STEP」の意味

一方、ボルテクだけでなくWDSFなどのダンス教本で使われているチャートの左端の「ステップ」ないし「Step」は、タイミング的に言えば上に説明した1歩ないし1Stepと半歩ないし1/2 Step遅れています。詳しく説明すると、それらのチャートで使われているステップ( Step)というのは、両足が揃っているところが始まりで、片足を踏み出し、中間バランスの状態を通過して、踏み出した足と反対側の足を引き寄せてきて、次に両足が揃ったところが終わりです。

つまりチャートの左端の「ステップ」の一つの行は、ムービング・フットに着目して記載すると、中間バランスの位置で二つに分けられることになります。ステップの前半において足Aがムービングフットとして先行する場合は、後半でその反対の足Bがムービングフットとして引き寄せられ、足Bが足Aに揃えられたところでそのステップが完了します。

このことは、日本人だけでなくて、英国人にも混乱を招いたようで、ボルテクが編纂された際のISTDのボールルーム委員会の委員長を30年以上の長きに渡って務めたアレックス・ムーアMBEの著書にもわざわざ同様の注意事項が記載されています。分解画像とチャートをつかって詳細に説明した記事を以下に掲載しています。ご参考まで。

http://dancepedia.info/top/free-essay/cant-dance-as-balltech/

■ 実際の記載内容について

スローフォックストロットの予備歩(英語ではPreparation Stepと言います)からフェザーステップを踊る場合の例に取ります。

カップルが組んで両足を揃えて立ったところからの男子のフィガーで説明します。立ったところから、左足を踏み出して右足が左足に揃うまではまだ予備歩の段階です。そこから、フェザーステップのステップ1前半の右足前進が始まり、中間バランスを経由して今度は左足前進が始まり、その左足が右足に揃ったところでステップ1後半が完了します。ステップ2もステップ3も同様に前半と後半に分けられています。

2012年に初版が出されたWDSFの教本ではすべてのステップが上記のように前半と後半に分けて足の位置が記載されています。

ただボルテクの原著であるBallroom Techniqueが書かれた頃は、「足の位置」の欄には、この中間バランスより前のステップ前半だけに注目して書かれていました。私が持っている最終版の Ballroom Technique でさえ、その記載方法を未だに踏襲しています。当然その翻訳書であるボルテクもそれを引きずっているわけです。そのせいで、以下のような、笑えない勘違いが実際にあるわけです。

ボルテク通りには踊れない?

【 ご注意! 】

というわけで、ボルテクやその他の書籍に1歩と書かれている場合は、どちらの意味でつかわれているのかにご注意ください。