解説

私がこれまで数多くのテクニックブックを調べた範囲では、国際的に広く認められているボールルームダンス・テクニックは、大まかに分類すると、以下のように分けられると考えています。なおこの分類はあくまでtama個人のものですのでいつまた変わるかもしれません(笑)。

(1)イングリッシュ・スタイル・ボールルームダンシング

ISTDが、ビクター・シルベスターを委員長とする技術委員会(シルベスター委員長および5人のメンバー)にまとめさせた初期のスタイルのボールルーム・ダンシング

(2)アレックス・ムーア・スタイル・ボールルームダンシング

(1)をベースとしてはいるが、アレックス・ムーアMBEが個人の著作として長年に渡り改定してきた Ballroom Dancing に基づいたボールルームダンス・テクニック。最終版は第10版(2002年)である。
誤解を恐れずに言うならば、大きな動きを抑えた優雅なダンスを目標としたボールルームダンスといえるかもしれない。
なお、日本でややもするとバイブルとしてみなされている The Ballroom Technique(日本人にはその和訳書であるJBDFのボールルームダンス・テクニック、いわゆるボルテクとして知られている)は、上記のBallroom Dancing をISTDがダンス教師試験の受験者のために簡略化した本であり、技術的内容としても、1960年代の Ballroom Dancing から発展していない。

(3)ポスト・アレックス・ムーア・スタイル・ボールルームダンシング

上記の(2)をベースにしながらも、トッププロたち(エグルトン夫妻、ヒルトン夫妻、ウッド夫妻、アービン夫妻など)が、改良を重ね、大きな動きを取り入れながらも美しさを追求したテクニックである。この本の茶者のジェフリー・ハーンのアドバンスト・テクニックというのは、この(3)を指している。それに対して、この章の The Original Technique というのは、(1)、(2)のことを指していると考えられる。

(4)WDSFスタイル・ボールルームダンシング

上記の(1)、(2)、(3)をベースとしてはいるが、よりダンススポーツ的なムーブメントを追求しているテクニックである。

 

参考情報

Head Weight に関する動画

 

対訳


THE ORIGINAL TECHNIQUE

The book, originally published by the late Alex Moore MBE and amended recently by the ISTD, plus the book by the late Guy Howard published by the IDTA, provides the technique that has enabled every champion to achieve success. They are excellent guides to learning Ballroom Dancing through the Medal Grades, to Professional Examinations and Competitive dancing. The Technique Books were written by studying the techniques used by the leading couples of the day and have stood the test of time. However today’s advanced figures were not included. The development of hold and posture has enabled present Champions to use the original technique to give even more rhythm, power and freedom to their movement. This book will explain the developments and provide the technique for many advanced figures.
この本(の内容)は、もともと故アレックス・ムーアMBEによって出版され、近年ISTDによって改定された本と、それに、IDTAによって出版された故ガイ・ハワードによる本をプラスしたものであり、すべてのチャンピオンが成功を収めることを可能にしたテクニックを提供している。 それらは、メダルテストの段階から、プロフェッショナル試験や競技ダンスまでのボールルームダンスを学ぶための優れたガイドである。 それらのテクニックブックは、当時の最も成功を収めたカップルたちによって使用されていたテクニックを研究することによって書かれ、時の試練に耐えてきた。 しかし、今日の高度なフィガーは含まれていない。 ホールドとポスチャーの発達は、現在のチャンピオンたちが独自のテクニックを使用して、動きにさらにリズム、パワー、自由を与えることを可能にしている。 この本は、それらの発展を説明し、多くの高度なフィガーのためのテクニックを提供しようとするものである。

Technique always follows the creative talent of the balanced, rhythmic performer, so with the development of posture and hold, coupled with the wish to be more powerful, we see the technique developed in many different ways. Couples, who have come from many different cultures around the world, have also added change and “colour” to the expression used in many of the figures.
テクニックというものは常にバランスの取れた、リズムに富んだ演技者の創造的な才能につき従うので、ポスチャーとホールドの発展と、より強力になりたいという願望と相まって、テクニックがさまざまな方法で発展してきていることが見て取れる。 世界中のさまざまな文化を背景とするカップルたちも、多くのフィガーに使用されている表現に変化と「色」を加えている。

When the dancer has developed control and discipline through using the knowledge given in The Technique of Ballroom Dancing or The Ballroom Technique they will be able to release their ability into greater movement and rhythm by developing the techniques described in this book.
ダンサーがボールルームダンスのテクニックすなわちボールルームテクニックの中で与えられた知識を使用して、コントロールする技術とその品質を発展させた時点では、彼らはこの本で説明されているテクニックを発展させることによって、彼らの能力をより大きなムーブメントとリズムに富んだものへと解放することができるであろう。

It is expected that those using this book will have a working knowledge of the vocabulary used in the original books of Ballroom Technique. Therefore the names of the Syllabus figures used and the descriptive headings in the charts are the same to avoid confusion.
この本を使用する人は、ボールルームテクニックのオリジナルの本で使用されている用語の実用的な知識を持っていることが予想される。 したがって、混乱を避けるために、使用されているシラバスのフィガーの名前とチャートの説明的な見出しは同じになっている。

Please use this book in the same way as the original technique is intended to be used; that is as a guide to maximise your own ability to move rhythmically in contact with your partner.
この本は、もともとのテクニックが使用される場合と同じように使用すること。 それはあなたのパートナーと組んでリズムに富んだ動きを行うあなた自身の能力を最大化するためのガイドとしてである。

The changes that you will note in some of the descriptions, when you compare the books, come from my wish to clarify an action or movement. Here are some examples:
本を比較するときに、あなたはいくつかの説明において変更されていることに気付くであろうが、それはアクションやムーブメントを明確にしたいという私の願いから来ている。 ここではいくつかの例を示す。

Foot position. The expressions “toe turned in” or “toe turned out” are used more in this book because so many advanced figures require this technique to create quality of movement.
フット・ポジション この本では、「トウ・ターンド・イン」または「トウ・ターンド・アウト」という表現がより多く使用されている。これは、非常に多くの高度なフィガーが、ムーブメントの質を高めるためにこのテクニックを必要とするからである。

Alignment & Amount of Turn. Alignment and direction are sometimes given on figures that are not in Promenade Position or Fallaway Position to help in understanding the movement in the room.
アラインメントおよび回転量 ボールルーム内でのムーブメントを理解するのに役立つように、プロムナード・ポジションまたはフォーラウェイ・ポジションをとっていないフィガーについて、しばしば、アラインメントとダイレクションが与えられることがある。

Rise & Fall. Rise is described as through the leading step and not at the end of the step as in the Original Technique. Although the action is identical, I feel the word ‘through’ portrays the timing of the Rise in a more understandable way. Lowering is given, as before, at the end of the step, but where necessary it is given when a particular action requires a lowering at a different time. The difference in the Lady’s Heel Turn is due to the Developed Hold and Posture of today.
ライズ・アンド・フォール  ライズは、オリジナルのテクニックのようにリーディング・ステップが完了した時点ではなく、リーディング・ステップの間でおこすものとして説明されている。 アクションそのものは同じであるが、「through(スルー)」という言葉は、ライズのタイミングをより理解しやすい方法で表現しているように考えている。ロアーは、もとのテクニックと同じように、そのステップが完了した時点で行われるが、必要に応じて、特定のアクションで異なるタイミングでロアーする必要がある場合はそのように与えられる。女子のヒールターンにおけるその違いは、今日の発展したホールドとポスチャーによるものである。

Footwork. Whilst in every figure each step will be taken on an edge of toe or heel, more detail has been added to the Footwork of steps that require a stronger use of “inside edge of toe” or “outside edge of toe”.
フットワーク すべてのフィガーにおいて、各ステップはトウまたはヒールの端で行われるが、「トウのインサイド・エッジ」または「トウのアウトサイド・エッジ」をより強力に使用する必要があるステップのフットワークに対しては、より詳細な内容が追加されている。

. The difference in the strength and timing of between left and right turning figures is noted.
CBM 左と右のターン・フィガーの間のCBMの強さとタイミングの違いが示されている。

Sway. The body mechanics of the Developed Hold and Posture, and the requirement to maintain the volume of the hold allows for strong Sway from the Man but minimal Sway, or no Sway at all, from the Lady. This is different from the matched sways of the Original Techniques.
スウェイ  発展したホールドとポスチャーのボディメカニズム、およびホールドのボリュームを維持するための要件により、男子からの強いスウェイが可能になるが、女子からのスウェイは最小限に抑えられるか、まったくスウェイしない。 これは、オリジナルテクニックの男女が一致して動くスウェイとは異なる。

Head Weight. This is a new addition to the previous techniques and has been added to explain the shaping and/or projection that are required of the head in advanced dancing.
ヘッド・ウェイト  これは以前のテクニックへの新しい追加であり、高度なダンスにおいて必要な、ヘッドに対するShape(シェイプ)やProjection(投射、突き出し)を説明するために追加された。

Rhythm. I felt it was important to add not only the timing, but also the beat values and counts in beats and bars.
リズム  タイミングだけでなく、ビート・バリューやカウントをビートやバーに追加することが重要だと考えた。

Please read the following chapters and in particular the chapter on Technical Definitions you will find on page 13.
次の章、特に13ページにある技術定義の章を読むこと。