解説

 

編集中

 

力のモーメント

力のモーメントとは物体をある軸の周りで回転させる力であり、回転力FとFが加わる作用点と回転軸との距離との積で表される。

また、力のモーメントのつりあいは、力の大きさ×(力の作用線と力の始点までの距離)で,右まわり(または左まわり)を正にしたとき、任意の点まわりの力のモーメントの和=0 であることが回転しない条件である。

以下を参照

(http://www15.wind.ne.jp/~Glauben_leben/Buturi/Riki/Rikibase4.htmより)

6-3 大きさのある物体のつり合い
  剛体・・・変形しない広がりをもつ物体

(1) 重心
    物体の各部分に働く重力の合力の作用点を重心という。重心で物体を支えると,物体はバランスがとれ回転しない。
    質量m1m2,・・・ の小物体が座標(x1y1),(x2y2),・・・ にあるとき,
                      (6-3)
    が重心位置である。
(2) 剛体に働く力

     力の表し方
    大きさ,作用点,作用線



  力のモーメント
   力には,物体を平行移動させたり,変形させる働きがあるとともに,回転軸まわりに物体を回転させる働きがある。回転させる力の働きを軸のまわり力のモーメントという。
  左図で回転軸Oまわりの力のモーメントの大きさは,Oから力の作用線に下ろした垂線の長さ a (これを腕の長さという)と,力の大きさとの積で表される。
力のモーメントの大きさ
     MFaFrsinθ
(θ は回転軸Oから力の作用点に引いた直線(長さr )と力のなす角度)
物体が回転しない条件は,ある軸まわりの力のモーメントがつり合っていることである。

(3) 剛体に働く力の合成

① 力の作用線が共通の場合
   各力の作用点を共通にして,力の代数和が合力。
        合力FF1+F2
② 力の作用線が交わる場合
  各力の作用線の交点に各力の作用点を移し,平行四辺形の原理で合力を求める。
         合力

③ 力が平行で同じ方向の場合
  合力の大きさは各力F1F2の和(F1F2)で与えられ,向きは2力と同じ向き。
     合力の作用線は2力の作用点間の距離を,2力の大きさの逆比に内分する点を通る直線である。
       
  (F1に-fF2にfを加え,これらの合力の作用線の交点が合力の作用線と交わる)

④ 力が平行で逆向きの場合
  合力の大きさは各力F1F2の差|(F1F2)|で与えられ,大きい方と同じ向きである。作用点は2力の作用点間の
  距離を,2力の逆比に外分する点である。
            
(F1に-fF2f を加え,これらの合力の作用線の交点が合力の作用線と交わる)
⑤ 偶力
  1組の互いに反対向きの平行力を偶力という。
  偶力の合力は0である。右図で力偶力のO点まわりの力のモーメントM
      MF1(r2r1)=F1d   で与えられる。

(4) 剛体のつり合い

つり合い条件

 右図のようにxy座標をとり,各力の分力をFxFyとする。

    x軸方向の力のつり合い ΣFx=0 (F1xF2x+・・・=0)   (6-4)
    y軸方向の力のつり合い ΣFy=0 (F1yF2y+・・・=0)   (6-5)
       O点まわりの力のモーメントのつり合い
       ΣM=0  (M1M2+・・・=0)                             (6-6)
剛体のつり合いを考えるポイント
   ① 力のモーメントのつりあいは


     力の大きさ×(力の作用線と力の始点までの距離)で,右まわり(または左まわり)を正にする。
     任意の点まわりの力のモーメントの和=0 が回転しない条件である。
   ② 物体のつり合いは
     力のつり合い式および,任意の点まわりの力のモーメントのつり合い式を必要な未知数だけ式を立てる。

 

テコについて

 

(1)テコの原理

テコの原理とは、ある剛体を支点で支えた時、その物体上で、力のモーメントのつり合いを利用して、その支点から離れた点に力を加え(力点と呼ぶ)、別な点に大きな力を作用させる(その点を作用点と呼ぶ)原理である。

支点から作用点までの「距離」×作用点の「力」=支点から力点までの「距離」×力点の「力」

 

なお、テコの原理の説明で、以下のように作用点におもりを固定し、それにかかる重力に対抗しておもりを持ち上げる例が数多く見られるが、このテコの原理そのものは、重力に関係なく成立する。たとえば、爪切り、ピンセットなどもテコの原理を利用している。

テコの原理を応用する場合、もう一つ、重要な視点がある。それは、力点と作用点との関係は入れ替えることが可能だということである。たとえば上の第2テコにおいて、30kgで持ち上げる代わりに30kgのおもりをぶら下げた場合、60kgのおもりの位置で60kgの力で引き上げることでバランスする。

もう一つの視点は、支点を中心として力のモーメントがバランスしている場合のみ、そのとき支点に加わる力は、力点と作用点に加わる力の合計になるということである。たとえば、上の場合、重力の向きをプラスとするならば、第1テコの支点には下方に30kg (= 30kg + (60kg – 30kg))、第2テコの支点には下方に30kg (=60kg – 30kg)、第3テコの支点には、60kg (= 120kg – 60kg) の力で重力と反対方向に引き上げられることになる。

 

(2)テコの種類

テコは、支点、力点、作用点が一直線に並んでいる場合、それらの位置関係に応じて、一般的に次の3つに分けられていることが多い。

 

ボールルームダンスへの適用

 

(1)ポイズにおけるバランス

ポイズにおけるバランスについては以下の通りである。(「運動理論に基づくダンス上達法」(図-22)(82ページ)

この図からするとポイズの姿勢より膝は曲げられてはいるが、重量バランス的にはポイズの状態と同様に、体重は両足のヒールとボールで支えられており、重心はおおよそ土踏まずよりボール方向に保たれているが、安定して立つことができる。このような位置関係を、重心が支持基底面の内側に位置しているということもできる。

このように重心が支持基底面の内側に置している時人間はいくら脚を屈伸させたとしても移動することは不可能である。移動するためには、片足をフロアから離して支持基底面を減少させて重心を支持基底面から外側に位置させるか、あるいは、次の項で述べるように、足首を使って重心を支持基底面の外側に位置させるようにする必要がある。

(2)テコによる前進・後退の開始

テコの原理をボールルームダンスへ応用してみる。

図22の状態で、ヒールを支点、ボールを力点、骨盤内にある身体の重心を作用点と考えてみる。後退する場合は、その状態で足関節をのばす方向に動かすと、両足の力点(ボール)がフロアに押し付けられて反時計回りの力のモーメントが大きくなるため、両足の支点(ヒール)を回転軸として、作用点(重心)はこの図でいうと、反時計回りに回転して行き、最終的に重心が支持基底面の後端より外側にはみ出る。そこまで移動すると支点にかかるのは重力による力のモーメントだけになり、単なる片持ちのレバーになるため、テコの原理が働かなくなるので、後ろに倒れ始める。この状態が更に進むと、次に述べるように、重力による力のモーメントだけではなく、膝の屈伸による力の助けを借りてさらに後方への加速が可能になる。

前進する場合は、逆に足関節を曲げる方向に動かすと、力点(ボール)がフロアから離れ、反時計回りの力のモーメントが小さくなるので、重心にかかる重力のモーメントにより、両足の支点(ヒール)を回転軸として、作用点(重心)が時計回りに動き、最終的に重心が支持基底面の前端より外側にはみ出る。そこまで移動すると支点にかかるのは重力による力のモーメントだけになり、単なる片持ちのレバーになるため、テコの原理が働かなくなるので、前に倒れ始める。この状態が更に進むと、次に述べるように、重力による力のモーメントだけではなく、膝の屈伸による力の助けを借りてさらに前方への加速が可能になる。

 

(3)