社交ダンスを気持よく踊るために私が目標にしているのは、音楽とマッチしたムーブメントです。
そのためどうやったら音楽的なダンスを演じることができるのかということに、ずっと興味を持っています。
 
音楽の3要素として、粗っぽい表現ですが、リズム、メロディ、ハーモニーということが言われます。
このうち最も基本的な要素としてはリズムでしょうが、リズムを構成する上で、そのリズムを刻む音の強い所がビートと呼ばれると思います。
 
さて音楽のビートと、いろいろなダンスのいろいろなフィガーのムーブメントの何を一致させるのが良いのかということが、音楽とマッチしたムーブメントを演じるための最も基本的な部分だと思っています。社交ダンスをやり始めて何年間ものあいだ、フットワークとの関係を模索していました。たとえば、ビートに対して、ムービングフットを出し始めるタイミングを合わせるのか、着地するタイミングを合わせるのがいいのかなど。でもそれでは説明できないフィガーのほうが多い。
 
次に最近まで考えていたのは、ムーブメントが描くボディの軌跡の変化点を音楽のビートに合わせるのではないか。
たとえば、ワルツのナチュラル・スピン・ターンの3歩目の途中でライズの頂点に達して、3歩目の終わりでロアーを始めますが、トッププロは、そのロアーに変わる瞬間をワルツの3拍子の頭のビートに合わせていますし、自分で踊ってもそれが一番気持ちがいいのです。
 
オーケストラの指揮者の指揮棒の振り方などを見ていると、基本は指揮棒を振り下ろして振り上げる瞬間が音楽のビートになっています。
しかし、トラベリングフィガー、たとえばスローフォックストロットのフェザーステップ+リバースターンなどの場合、ボディの軌跡の変化はなめらかなので、どうも違う。
 
またうえの2つの考え方は、ピクチャーポーズをやる場合には適用できない。
 
このように、ビートを表現するムーブメントの要素として、あるフィガーには適用できるけれど、違うフィガーには適用できないのなら、まだ考え方として不十分だということになります。
あれやこれや考えていて、最近になって、やっとこれがビートを表現するムーブメントの共通要素だと考えるようになったのが、ムーブメントが減速から加速に移る瞬間を音楽のビートに合わせるということ。これならどんなフィガーなりアマルガメーションでも適用できそうに思います。